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【ブン太SIDE】
「クールって想ってたけどなんつーか……先輩、可愛いっすね……」
歓心したように呟いてる赤也の馬鹿に俺はぎょっとした。
「ブンちゃん、クールって……?」
横で首を傾げてるのはそう称された本人、ちょっと前まで俺が好きだった女、だ(いや今もか)
「まあ赤也の意見も分からなくはないような……」
クールっていうか飄々としてるところはある。はよくもわるくも……。
――……てか、そこが幸村君に似てるし……
負け、と素直に認められる部分があるならそこだともおもった。
赤也にはおしえねーけど。
「てか、赤也、ぜってー手だすなよ?」
耳元に叱咤するのは焼餅からじゃねー。
赤也のことをかんがえてのことだ。
――部長さんの独占欲の強さをわかってねーんだろうな……
そのうちわかるだろうが、好き勝手してるだけで唯を束縛できてしまう幸村君は、一見執着がなくもみえるのだ。
あくまで、一見であり、の気持ちがまっすぐむかってるとわかるからだが。
「可愛いって……有りえないんだけど」
軽く返す辺りはたしかに「かわいげない」クールさだ。
でも、どきっとしてないのは幸村一本のだからに違いない。
「……あー……は可愛いと思うけど?」
俺まで参加してどうする。
だが、ちょっとこの辺り本気でいってるともつかないのが怖いから口出しはしておいた。
「可愛いっていうか、幼いんとちゃうか?」
ついで、ふって沸いた声は、余計にややこしい……ややこしいのをあててしまった責任は俺にあるのかとおもうと後でばれたときのことが怖かったが。
「仁王先輩。大人っぽいっすよ?むしろ」
「そうでもなか。……あ、悪い意味じゃないけん」
「う、うん……」
ていうかわからなくもないし、とは呟く。
きづいてたのか。
――幼いってよりすれてねーんだよな って……。
あの幸村君相手だからそうおもうのかもしれないが、彼女は鈍感なところがあって………天然ともおもえないが、少々その手のことが苦手そうなのだ。
が……俺も仁王も幼めと評したものの、次の彼女の言葉には思わずとまる。
「……精市が大人だから」
「「は?」」
いや……
違うだろ。
とか そういうのじゃなくてな……とか……それ以前にそこにふくむところの意味を色々と(下世話に)想像し……
「参った……ブンちゃんパス」
「げ。仁王にげんな」
「ぷりっ。赤也にゃわからんなり」
「……まあ……」
なんていうかほら…… とそちらをこまってみれば、発言した本人はさらりと告げてくれた。
「何でも自分で決めるし、ついつい従いがちになっちゃってるからね」
――ああ……そういう意味かよ。
横で、赤也も赤也で「あー部長がつよすぎっから、軽く答えてる先輩がクールにみえんだ」とかいってやがる(コイツも相当わかってねー)
――つか、なんだこれ……?
ちょっと泣きたい。
赤也のやつは年頃のわりに、なんか妙に素直だし……。
……もまぎらわしいんだって。
「て、そういうの抜きにしてもは可愛いってか……幸村君とりこにしてんじゃん」
「あーそれ不思議なんすよね。部長、世話すきってより苛めるのたのしむってか、俺も散々なめにあってるってか……。でも、なんか先輩にはちょっとだけやわらかいっすよ」
「そう?いつもあんなだけどな。……ああ、ただあまりこっちから我侭いわないからかも。文句いわないから黙ってるってかんじだとおもうな」
「クールに受け流す、の根源はそこだな、。赤也、はお前とちがって人ができてんだよ。注意の必要はねーし、でもそれでも心配なんだろぃ?」
「あー……好きなんだなってのはわかるっすよ」
は「だといいけど」とスルーしたが、俺ら的に共通でわかってんのは、なんのかんの幸村がをすきだろうってことだ。
牽制をされてた俺はいかに敵にまわしたくないくらい好きかわかってんだが……赤也にも「すき」はみえてんだろう。コートに入れてやってるとか実質的部分で。
「でもそっけないのがわかんねーんだよな。あの人」
「そりゃ幸村だから……」
「精市だから……」
「げ?なにはもってるんすか 二人とも」
――……とかいわれても、な?
あいつの本気に気づかないか?
いや、赤也にはわからないよう、幸村が気をつかってるんだろう。
意外とプライドが高いのかもしれない。
俺はこそっとその答えを封じ込めた。
は知ってるんだろうが、まちがえて伝わったらことだし……それ以上にこれ以上深入りしたくないのが本当のところ。
ねちねちと牽制されてる(一昨日もの首筋に瑕があった。あえてみえるぎりぎりに)身としては、大人しくするにかぎる。
「赤也、は、幸村君にとっちゃ可愛いんだって。ま、こっちにもその『可愛い病』がつたわるってこった」
そういうことにしておく。
でないと…………たぶん……
「赤也、ブン太……大分暇そうだな?」
「精市」
「予算委員会は終わった」
噂をすればなんとやら……
一先ず大人しく帰っとくほかない。
「あー……部活もねーし、勉強みてもらってんだけど、これ以上引き止めたらマズイしおれ帰るわ」
「あ、先輩って英語得意っすよね?なら俺も……」
馬鹿か?コイツ
「駄目にきまってんだろい」
いって無理やり赤也を引きずる。
「俺がおしえてやるよ」
「げっまじっすか?こんなややこしいのを丸井先輩が……」
「おう。……だから、な。ま、は幸村君でもみててやれって」
「俺は世話をされねばならないほどの成績じゃない」
知ってるよ、んなこと。
――世話がいるのは、機嫌だろぃ…
赤也と俺とちょっとはなしてるだけでこれだ。
流石の赤也もこれにやきづいたんだろう。
横で部長の状況に目をみはっている。
ある意味で可愛いのは幸村じゃね。…… と 仁王が去り際にいっていった台詞がどんぴしゃかもしれない。
「んじゃな、。幸村君も送り狼になんなよ」
こうして綺麗に退場。
唯にも手をふった……。
――が……颯爽と退場するつもりが……
「さあ?保障はできない」
「でも送るよ、」と、自分の腕をつかませた彼氏は……本当にかわいげがない……。
結論、は十分に可愛く……相手はどうしようもなく悪い。
クールだの冷淡、にくわえて、どうしようもねー(が美形かついい男な)のが、幸村という人間だ。
願わくば赤也(俺もか……)に報復だの疑心の目がいきませんように。
静かに願って、俺らも帰宅の用意を始めた。
「可愛いよなー」とこそっとおもったのは秘密だ。(幸村君と対比したせいだといっておく。取り合えず……)
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