回想 似てるらしい   (閑話)

 不二を、ふと思い出す。
 兄の方のことだ。
 随分前の話で、あのことさえなければヤツに興味を持つことなんてなかっただろう。(むこうもきっと同じだ)

 いつの話だったか忘れた。
 具体的にどの子だったかも。
 でも恋相談の最中だったかと思う。 
 「ねえうまくいくと思う?」と話をふられた私は彼女に忠告した。

「ああ、何となくわかるけど止めた方がいいと思うよ」
 一言。

 だって、そう思ったんだ。
 結末が読めちゃったんだ。
 言わないのも手だった(今の私ならきっと言わない。面倒になると学んだから)
 けれど、私は浮かびうる【結論】を教えて、彼女たちに「人の気持ちが分かるなんてよくいうよ」と嫌味を言われた。(当然だ)
 ……なのに、別にいいやって思ったのは何故?
 それは、うさんくさいと思ってたクラスメートがやっぱり妖しげな匂いのぷんぷんする応対で、気まぐれに「わかる?」と尋ねた私に「何となく」と答えたから。
 それで思った。

 ――この人が私に似てるって言われる所以ってこの辺なのかなぁ……。

 その人こと不二周助と私は、お互いをよく知る人間から、やたらと性格が似てることを指摘されてた。
 このことがきっかけになって、私たちはよくしゃべるようになった。
 特別多くもないが、もともと口数の多い私にヤツがポツリポツリ答える感じから、何だかんだで気づけば旧友並みの交流に発展した。

「ああいうの面倒だよね」

 同じようなこと、数回目。
 いい場所に居合わせたため今度も不二に聞いてみたら、

「そうだね、。でも、聞かれる前に逃げればいいと思うよ?」

 余計面倒になるしと、返事が戻った。

「ああ、不二『は』退屈してる人種なんだ?」

 いちいち【わかりきった】会話をすることに。
 そう思って聞いてみたら、「そっちこそ。わかってるわりに大人げないよね」だなんて返事があってムッとする。
 全部計算じゃつまんないじゃん?
 わかんないとこもあるよ。確かめなくちゃ違う可能性だって。
 私はそれでも「読めちゃう」部分がうざいと思ってるだけだよ?
 思うが、不二は聞いちゃいない。
 まあ確かに、私の友達の誰かが君を好きだったり、それでも君は絶対その子を好きにはならなかったり。そういうのってわかんないほうが楽だ。
 分かっちゃうから飽き飽きする。イライラする。
 それについては激しく同意。

「うーん……?」

 私と不二の差ってなんだ?
 説明が付かなかった数ヶ月前、

「なんか、私らって似てるんだって?」

 代わりにそういって――

「何、それ」

 って二人で笑ってた記憶がある。






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