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――全く世話がやける。
赤澤は妙なところが鋭い。
僕は大体の事情と事実を察した。
困ることになるのは観月だ。
万が一(嫌なことに多分想像は当たってるだろう)を考え、観月の部屋の前につくと、戸を叩く前に観月が出てきた。
「彼女は?」
すぐさま質問をする。
「何のことです?」
観月は目を逸らさず答えたが、既に声が不機嫌になっている。
――それじゃ事実ですって言ってるようなもんだよ。
ため息を堪えずに、その勢いでさっさと決めつけて話した。
「学校に連絡させなくていいの?家とか……」
「――………」
「僕に遠慮しないでいいのに」
「だから何の――」
苛立つ観月を無視する。
「。此処に泊めたんでしょ?何もなかったにしろ、まだ居るなら欠席伝えないと――ばれるよ?本人から電話させるとかクラスの人とかに……」
観月はふうと息を抜いて、それから降参の証拠に前髪をいじった。
「寝てます」
意外と直ぐ認める辺り、焦ってるんだろうな。
しかし、実際焦燥を覚えるのはこちらの方だったようだ。
「裕太君の部屋の鍵、借りられますか?」
「それ、絶対的に人選間違ってるから」
流石に驚くだろ。
――あの観月が不二周助に朝一番で電話……?
僕の声に観月は嫌そうに顔をしかめた。
「この際、やむをえないでしょう。アイツは弟にこれ以上嫌われる真似しませんよ」
訂正を入れたい。
進学問題で、彼は滅茶苦茶ばらしていたのだけれど?と。
ただ、裕太に不利かどうかは分からないから、難しいところだ。
嫌いな人間のことは直感でよくわかると言うし、ここは観月に任せておこう。
僕は貝になって、寮の受付まで走った。
「追求されてもしらないから」
寮母さんから鍵の代わりに住所録を借りてきて、嫌味を言ったら、「今もされてます」とやり返される。
――僕は大体わかってるんだけど?
だからと言わんばかりに、加えられる。
「貴方の方が余計性質が悪い」
観月は携帯のナンバーを押しながら告げると、急にぴんと姿勢を正した。
寝不足で体調的にキツイとはいえ、通話相手が不二ともなると拘りがあるらしい。
安心した僕は踵を返し、
「淳、早く行くだーねー」
「うん、用意はできてるから」
後ろからどなった柳沢に向かって言葉を投げかけ、観月の元を後にした。
「遅刻する?」
もう電話をかけはじめてる観月に口の動きだけでもわかるくらい、のんびり聞くと、観月は「遅れたらお願いします」と頭を縦にふった。
――、本当にいるんだな……
今更ながら実感がわいて、ドキドキした。
赤澤と同じ下世話な想像をして、じゃない。
この先の展開は不安ながら、観月とがようやく向き合うのかと思うと何だか小気味よかったからだ。
――だってさ、観月。そのままでいるなんて無理じゃない?
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