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が俺らの仲間なのは去年から当然のことだった。
――に関しちゃ学校での心配も正直していなかったぜ?
一年代表で結局面倒みることになるから気は配ってたが、むしろ不安は別のところにあった。
「観月のやつ、参ってんな……」
最初は部活のときに感じた違和感。
自分の彼女をマネージャーにした、と思われないよう気でも使ってるのかと思った
よくよく見てれば、観月は彼女と付き合ってるのは周知の事実で今更なのに、先輩の手前か贔屓だと思われたくないのか、わりと距離をとっていたからだ。
――つっても、同学年の間じゃ相変わらず、意地はってるわりにバレバレの甘さだしよ……。
部活では楽しそうにしてるから、原因は違う場所にあるような気がする。
も、わりとむいてるっぽくて水を得た魚状態だしな。
悩んだ末聞いたのは数日後、観月との隣のクラスにいる木更津淳からだった。
* * * * *
「自分より社交的な彼女の邪魔になりたくない、だあ?」
「多分ね」
学校でのに対して過敏がすぎんだ……。
ここのところやたらと疲れてんなーとは思ったが……納得。
同時に、目の前の光景に頭が痛くなってくる。
観月ときたら、敢えてなんだろうがと距離をとって折角同じクラスにも関わらず必要最低限以上に喋っちゃいねーんだわ、これが……。
「あのよ……のがよっぽど観月より人付き合いは得意だろ」
「まあ。ただ彼女は観月みたいに取り繕う上手さじゃないから。好きなものには反応しても興味ないものは流すし、我関せずだろ?観月は満遍なく話してその場を凌ぐから……心配なんじゃない?」
一部だけしか関わらないってだけで、既に、というのが敦の言い分。
人づきあいについてはタイプだけに、説得力がある。
観月の完璧な周囲への対応を「癖なんだろうけど大変だよね」といってたのもコイツだったか。
「……あー、なんか観月のやつ、のこと弱く見すぎじゃねーか」
まああの人見知り(観月)からしたら仕方ねぇのも分かるが。
人当たりがよくなって嘘くささがとれて(間違えなくと付き合いはじめたおかげ)周囲になじんだばかりの観月は表面でやり過ごすことになれすぎて、気を使いすぎるきらいがある。
「まわりはそんなにみてないのに。あれは姉にこき使われる弟のサガだね、観月のとこ実家は色々強烈らしいし」
が自分のせいで馴染まなかったり浮いたりしたらどうしようか、春休みも気を払っていた観月を思い出せば大方想像はついた。
クラスでは余計に、なんだろう。
「でもな……」
「は好きな相手とはちゃんと話すし周りには隔てなく接触を許してるけど、本当のとこあんまり人を懐にいれたがらないよ。きっちり区別してるから、皆と仲良く……なんて思ってないだろうね。観月は望んでてもさ」
そうなのだ。俺らに(更にシャイな裕太に)さえすぐ溶け込んだだが、最初緊張してたのを知ってる。
――観月がすきな仲間だからマジに溶け込もうと頑張ってたんだろうが、あれは。
途中から俺らといること自体がわりと楽みたいで気安くなったものの、それは俺らを彼女自身気に入ったからであって、本来彼女は社交的かというと難しい。
目立たず、そこそこの付き合いで流したい、というのが何となく読めるのだ。
「気付いてないよな」
「ああ」
観月はたぶん、肝心なところが分かってない。
「のやつ、隠れた人見知りだぞ」
ましてや群れる類の、観月の苦手な女子と一緒にいる光景なぞ想像もつかない。
「あれでも、結構マイペースに頑張ってるよね。気に入れば自分からそばにいるだろうし、今も周囲に溶け込んでないわけじゃないんだから」
この様子じゃ、もう一つのことも観月は気付いてないだろう。
俺らの斜め前で、どれだけが観月と一緒にいたいのか分かる光景が広がってるっていうのに、当人ときたら……その昼の誘いを断って、つんと澄ましている。
「――心配してんなら素直になりゃいいのに」
溜め息が漏れる。
仕方ないなというように笑って、他の子の誘いをうけるか迷うをみているとこちらの方が切ない。
――付き合いはばれてるんだ。今更だろ?
観月も、不自然に苦しそうな表情を誤魔化して、断った自分を明らかに後悔するくらいなら……ちらりと彼女を伺うくらいなら我慢しなけりゃいいものを。
まあ、さしあたり何とかしてやりたいのはの方。
「誘うか?」
こんなことだろうと持ってきた弁当を片手にいえば、
「今に話しかけてる子、確か去年観月のことを好きだったよね」
淳の追加情報。(俺も知ってたくらい熱狂的だったやつだよ、アイツ……)
そのまま、淳は観月に話しかけに行く。
俺は適当なところで会話にわって入り、敢えて観月にを呼んでくれる様にいえば、予想通り嫌そうな顔がかえった。(妬くくらいなら何とかしろっての)
「お前の彼女だろ」とからかうように言えば、「が貴方たちを好きになるなんてありえませんよ」なんて平然と惚気るくせに……
――なんでわからねーんだか……。
「……一緒に居てやれよ」
観月の肩をつかんで悲しませるなと忠告し、動かない観月は放って、のもとに寄る。
「あれ?赤澤、来てたの?」
「おう。淳も、ついでに柳沢も来るぜ」
「すまねーけど、借りていい?」と横の、例の子たちに断って、「一回特クラ入って見たかったんだよ。なんか教室遠いだろ」なんて軽口を叩けば、マジでびびるくらいの顔がほころんだ。
――馬鹿みたいに喜んでんじゃん。
苦笑しながら椅子を借りて、前の席に座り込む。
「観月はいいの?」
――……って、おい、……自分の心配はなしか?
「あいつ、どうせ十二時半すぎたら部室なんだわ」
先輩に呼ばれてたのは事実だし、観月には行き場も他に友達もいる。
出来た友達とはわりとドライな付き合いっぽいし、そもそも彼氏持ちだらけっていうから(これは柳沢と淳と金田の情報・結構面白い友達が多いっぽい)のが行き場がないだろ?
誘いの手は絶えずとも、心細そうなのも事実なんだから、このままにしちゃおけないんだよ、元部長としては。
「、お前も仲間なんだからたまには一緒しようぜ」
「そうそう彼氏(鬼)の居ぬ間にね」
くすくすと声たてた淳に「あのねぇ」なんて困ってみせてもなんてことはないんだ。
――実際観月抜きで何か月も話したし。離れてる二人を見続けるのはやっぱり実際のところ嫌なんだよ、なんつーか。
きっかけを作りたい。
嫉妬半分にこちらを伺いみた観月に「馬鹿が」と呟いて、弁当を広げた。
淳もわざわざ今日は買ってたしな。
――早くしねーと、マジで奪われるぞ……観月。
べったりしろとは言わないが、ろくに時間が取れてないことに気付きやがれ。
祈る気持ちで、の笑顔を見る。少しだけ女っぽい表情が観月のせいだと、なんで俺らが思い知らされてんだよ。
TO BE CONTINUED
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