【SIDE不二周助】
『憂鬱なら不二にいうんだな。噂の出所はあいつだ』
『滅多に構わない不二が相手にはムキになって付きまとっている』
事実だから、何もいえなかった。
はその理由を、裕太の件のせいだと思ってるんだろう。
解決したからとでもいいたげな素振りで受け流していた。
けれど……
「はっきりさせた方がいい」
乾の警告は、に対するものじゃない。
僕に向けられたものだ。
去っていくの後ろ姿を見ながら、チームメイトはおもむろに口を開く。
「きいてたんだろう?」
「……まあね」
本棚の向こう側で問いかける乾に、こっちに来るように促すかにして、目の前の本を手に取った。
まだから見られる可能性もある。
そうなるとややこしいのだ。
意図に気付いて、乾は「お節介だったかな」と少し緊張を緩めた。
「僕のせいなんだろう?」
ならば、知っておくべきだ、と言外に告げる。
そう。神埼と、後輩(自惚れじゃなく、僕のファンとやらだろう)との諍いをみたのは、半分以上必然だった。
乾自身が僕にさり気なく教えてくれたことだからだ。
「木更津とは……付き合ってるわけじゃなさそうだが」
「知らないよ」
――全く……。痛いところをついてくれるな。
フォローに出て行く隙を、自分は兎に角乾に――第三者にすら作らせず、解決してしまう辺りが憎い。
しかも、こともあろうに、逃げる理由は『木更津淳』だ。
本人は無意識でも、助けを求める場所が彼というのは面白くない。
――彼氏っていいたくないのも何となく分かったから、そこは……まあ……いいけど。
彼女の表情は素直で……思考回路が一度見えてくれば、わりと単純なのだ。
女の子っぽくない分余計に分かりやすいとすらいえる。
「好き、でもないか」
「さあ……」
答えながら、乾の中でその確率はかなり高いのだと推測が出来て、その『確かめ算』にほっとする自分がいた。
同時に、相変わらず性格の悪い自分は、一つ思いついた。
「確かめてみる?」
木更津と同じように、なりたくない。
でももしも近づいているのなら……昨日の実感が本当であるなら、嫌われていないだけマシだ。
――確かめてどうなるものではなくても気になるんだ……
……同時に、危うくば、それを利用して多少でも意識させられればいい。
――今更……何を……。
そうは思っても、自分で考えてた以上にを前にすると、どうにかしたくてしかたのない自分がいた。
何を言っても受け入れられないと分かる分、無理やりでも許してもらうか、受け入れさせたい。
どれだけ無茶かわかっていても、自分勝手でも、そう思うから仕方ない。
乾は、何かいいたそうに口をぱくぱくさせたが、どのみち、自分は浮かんだアイディアを押し通すだろう。
――ただ、そうは言ったものの、「がむしゃらになる」なんて格好悪いことはしたくない……。だから……。
余裕のある素振りで、告げる。
「――確かめさせてあげるよ」
『なんか、腐れ縁の幼馴染みたい……』
それが本当なのか、どうか。
――すくなくとも木更津のポジションにはいかない。
恐らく、それは望んでいるところとは対極の場所だから。
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