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「ええと……」
目の前にちっちゃいのが座ってる。
なんだろ
つんつん。
触ってみたんだけど どうにも感覚は普通の……
「なにこれ……」
「何じゃない。大体いちいち人を触らないとたしかめられないのか」
「うわしゃべった!」
「しゃべった、じゃないだろう。……ところで、今日は何をしていたんだ?」
あきれ声で言うさまがやたら似合っている。
えらそうに聞こえないのは彼がきっととても模範的です、とかいたようなカッコウと雰囲気をもってるからだ。
「……えーと……」
「もう忘れたのか?」
少しだけ不安になったのか、目の色がかわってみえて。
「あ……」
昨日のことを思い出すのだ。
ぬれていたこの子を連れてきた私のこと。
そのとき、きゅっと私のパーカーの中で髪をつかんだこの子がやたらかわいかったこととか……
「かぜ、引いてない?」
尋ねたら、こくんと頷いたから……お風呂に入らせて、服を――昔のぬいぐるみのだけれど――きせてやって……
――それでねかせたまま、私も私でねてしまったんだっけ?
朝はジタバタと目覚ましに起こされ、あわてて学校にいってしまったから気づかなかったのだけれど。
「ごめん。放っておいて」
「……いや」
いい。と彼はいう。
「ええと……あの、名前まだきいてなかった」
妖精に名前ってあるのかな?
思うが、彼は「ああ」と低い声で(妖精にあわない!)答えて
「手塚国光だ」
しっかりと名乗りを上げてくれた。
「あ、うん。……私、ね。 でいいや」
「ああ、よろしくな、」
「……うん。よろしく……?????」
――ん? ちょっとまって……
よろしくということは?
「ええと……うちの子に、なるの?」
「いや、迷惑なら別に……構わない」
「ううん そんなことないよ。ただいきなりつれてきちゃったし、いいのかなって。心配とかされない?」
「妖精は妖精で、仕事だからな」
「そか……」
それもそれで切ないけれどなんとなくほっとした。
「じゃあ、いつまでだかいまいち分からないけど……」
それは後で説明すると、律儀にいってくれるこの子はたくましくて、昨日みたいに可愛くはなかったけれど(このなりなのに)それもそれでほほえましいからいいだろう。
「よろしくね」
にっこりとはしてくれない彼。
でも、差し出した指にのせられたちっちゃい手は暖かくて、思わず笑みがこぼれてしまった。
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