◇ 桑原(KU・WA・HA・RA)だって言ってんだろうが (SIDEジャッカル)◇ 【読み切り別の少女続編?】

「テスト直前なのに余裕ねぇあんた」

 アイツの親友(?)らしき女、はヤツに呆れた目――通称「ジト目」とも言う――を向けていた。

「私には強い味方がいるからね!!」

 はふふんと不敵な笑みを浮かべている。
 ――あぁそうだろうよ、俺が教えてやったんだからな。
 俺は話がこちらにふられないことを祈りながら、教科書を広げた。
 ちなみに勉強は嫌いじゃねーけど、特にしたい気分でもない。
 眺められるもんがあればいいんだ(要は災いが振りにくくなれば、な)

「何々!?何したのか教えてよ〜」

 は黄色い声を上げた。
 女らしい態度で、に食い下がってる。
 目をキラキラさせて言うほどの内容でもないのに、こういう話一つでキャピキャピ(死語)はしゃぐのが女生徒連中だ。

「やだよ」

 前言撤回。
 コイツに理屈は通じねぇ。
 ――相変わらずさっぱりしてんな……友達なくさねぇのがめちゃ不思議なんだけど?
 まあ今更だ。

 そんなことを考えていたら聞きなれた声が飛び込んできた。

「教えてくれよ〜」

「おっブン太!おっはよ〜」

 俺はズッコけた。
 今更ながらになきついてるのは俺のダブルスパートナーだったりする。
 ――……知らねぇうちに打ち解けてやがる。
 これで、が特に男好きってわけではない辺りが余計につかめねぇ。
 男女分け隔てなくとは既にいえない(既には軽くあしらってるくせして、ブン太は追い返してないし)
 まあ、むしろブン太が追い返されてないのが奇跡なんだが。 

「で?強い味方って?」
 ――と、ちゃっかり乗ってるしな。ブン太のやつも。

「仕方ないなぁ、カラオケ一回分ね」

「ちゃっかりしてんな、。で?なんなんだよ」

「ふっふっふっジャジャーン!!」

 は何やら取り出した。
 ………コメントは控えたいが、彼女の手元にあるのはいうまでもなく……

 俺のはったヤマが詰ってるルーズリーフ数枚分(ペンで重要単語はチェック済み)

 「私のテストのヤマ〜!!」

 ズルッ

 
「お前のヤマじゃなくて俺のだろ!?」
 ――ったく、俺の努力(?)の結晶だぞ。

「それくれよ!柳に聞いても教えてくれねぇし」

 ……って誰も聞いてねぇし。
 と、横をふっと見たら、いつの間にか柳が立っていた。
 軽く「おう」と声をかけたら、苦笑を返された。

「達人はテストで苦しむ私達のような奴のことはわからないから聞くだけ無駄無駄」

「そうか?」
 柳は心外そうに言った――つもりだろうが傍目には平然としてしか見えない。

「まあ、確かにうちの連中人間ばなれしてるしな」

 ……と、徐に俺を見つめ――……

 「ん?」

 ――……なんでそこで俺を見るんだ?

 その視線はやがてブン太に同意を求める。
 ――ブン太、何とか言ってやれよ。
 俺もブン太を見た。

「まぁお前は……色々まともじゃねーよな」

「おい、ブン太。フォローになってねぇ。てか、お前までいうか?仮にも相方だぞ!」

「漫才コンビでも組んでるの?」
 と、これはのツッコミ(鋭いんだかなんなんだか……)

 ――今度はしっかり訂正いれるところだよな?
 それともこれはギャグなのか。
 迷う間もなく、頭に来た俺は口走ってたけどよ。

「ダブルスだよ。タブルス!……てかそのヤマは俺のやったやつだろうが!!少しは有り難く思え」

「思ってる思ってる」

 ――思ってねぇだろお前……
 は紙をひらひらさせながら、あっけらかんと言ってくれる。

「んじゃまぁ相方ってことでこれ写させてもらうぞ〜」

 その手から、ブン太がうんうんと意味無く頷いて、紙をひったくる。
 既に右手でシャーペンをかしゃかしゃ言わせていた。
 ――許可得る前に、書く気満々だろうが。

「もう勝手にしてくれ……」
 俺は静かに俯いた。
 だが、災難はここまでで終らなかった……。


先輩〜〜〜!!!」

 一拍置く間もなく、
 物凄い勢いで教室に飛び込んできたのはうちのエースだ。
 大体の展開が読めて、俺は机に突っ伏し、台風?をやり過ごさんと努力する。

「何か用?」

「ヤマあてて!!つか勉強教えて!」

「いや」

 ――即答かよ。
 流石はだ。
 ……謎なのは赤也の方だ。
 何故、こんな、人にヤマを書かせた挙げ句、わけのわからんことを言い出すような奴に、教えて貰おうだなんて考えられるのだろうか。

「おい赤……」

 慌てて言いかけた言葉も、赤也にかきけされちまう。
 せっかくのフォローが水の泡か。
 ――に頼んでも仕方ねーんだよ。おい……。

「頼みますよ!何でも奢るし言うこと聞きますから!!」

「し〜かたがないので教えてあ〜げる〜」

 ――赤也はやぎか。……って俺も、このノリ突っ込みに大分馴染んだな。
 でもやっぱり後輩が哀れなので、もう一度注意くらいしてやるとする。

「あのな、赤也。こんな奴に……」

「こんな奴なんて言わないでくださいよ!!機嫌悪くなったらどうするんです!」

 シャウト。
 ――……そんなに必死か。
 一瞬、真田に提出されていた成績表(どうでもういいが、何で真田なんだろうか?)を思い出し、首をかしげる。 
 酷くはあれど、そこまでだったという話も聞かない。
 ――パンチは受けていなかったしな。
 ついで、を見ると、きょとんとした顔をされた。
 隣からブン太の間抜けな声が代弁する。

は社会系はトップクラスなんだぞ〜」

「トップクラス?……ああ、下からか」

「失礼だぞ、幽々白書のくせにっ!」

 は怒った様子で、だが、何故か俺の頭をがしがしと撫で始めた。
 どうでもいいけど俺の頭好きだな、コイツ……。

「俺はくわはら!くわばらじゃねぇ」

 威厳を保とうと怒鳴ってみるが、実際もう勝手にしてくれって感じだ。
 実のところ、が頭を撫で回してたり、俺にくっついて覗き込んできたりするのは悪い気分じゃない。
 ――……俺、もう終ったな……
 いいとこナシで馬鹿だと思ったのにコレが学年トップクラスの成績を誇ってるんだ。
 そんなこともあってもいいだろう。
 
「くそ……」

 ――こんな女が気になってたらやってらんねーよ……。

「何?ジャルジャル?」

「……頼むからそのあだ名だけは定着させないでくれ」

「分かった。ジャッキー」
 
 それもどうかと思うが……。
 

 END
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