「てか、いつもこうなの?」
楽屋から出てきた政宗を捕まえて、佐助は聞いた。
尋ねながらもその目は、じゃれてる二人――鬼庭綱元と、伊達成実にいっている。
ただし、現状は大したことがない。
ただのメンバーのちょっとしたじゃれあいである。
なんせアイドルによる正義心のモノマネにまで慣れてる佐助だ。
ポテトチップの袋の奪い合いをするバンドマンを見たところでどうとも思わない。
が、ききたいのはそういうことじゃない。
さっきのステージ上の不適切っぽい(幸村のいうところの「破廉恥な」)発言だ。
「A〜HAN?」
政宗はぴんとこないらしく、訝しげにしている。
――慣れって怖いもんだな。
それとも、諦めてるのだろうか。
「だから、そこのドエス笑顔っぽい方の発言」
すぐさま、視線が鬼庭に向かったあたり、誰を指すといわずと流石に分かったらしい。
その程度に公認エスなのだろうか。
「だってさ、『俺の成実』とか……いやさ、そういう風潮がありってのは俺もなんとなーく理解してるけど」
でもって、あの旦那、たぶんだけど計算得意だろうってのも納得なんだけど。と更に付け足してみる。
すると……
「アー、まああれはだな……」
途端に気まずげに、何故か政宗の代返をしようとする片倉小十郎@ベース。
「いいんだよ、小十郎。どうせ、鬼庭ファンなんざ、ドエムなんだ。今さら成実とどうなってようが気にしないだろ」
「へえ、っていうとやっぱり?」
そういう関係なの?と思わず訊き出すのは、好奇心にやられたせいだろうか。
世の中やっぱり怖いもの見たさ(ききたさ)というものが先を行く。
だが、いい意味で結論は持ち越された。
「いや、俺も実際怖くてきけてねぇ」
政宗自体が答えを知らなかったらしい。
「が、まあ――」
その片目の先をふたたび追えば、件の二人。
「つーか、何となくやりたかっただけなのに、そんなに怒ることないじゃん、綱元」
「相手が自分だったからいいものの、景綱だったらどうだ?」
「まずいんじゃないですかね?」と、静かな笑顔が怖い鬼庭と、その恐ろしさに全く気付かない成実。見事なまでの威嚇の微笑へのスルーっぷりに、見ているこちらの方が目を疑うようだった。
「えーと」と佐助は目をそらし、政宗も、「だろ?わかんねーよな」と肩をすくめた。
真面目人本名景綱、小十郎も、コメントに困って、萎縮したように佇んでいる。
ところが一歩間違えばそんな桃色空気の中(というかむしろ生徒と先生とか、子供とお守にみえなくもないのだが……その中)、ずかずかと入れるツワモノが一人いた。
「お、シゲ、今日もとばしてたな。てか、つなさんのがやる気だったっぽい?」
「慶次、おっせーよ!アンコールの殿との歌めちゃくちゃ良かったぜ。だから、正式にゲストにこいっていってんの」
「成実、慶さんの事務所がどこか分かっていってたんですか?」
「あきれんな、知ってるって。けど、売れてきたし、もうだいじょぶだろ。友人ってオープンにしたって」
「ま、違いないね」
――ふうらいぼう?
そういうことである。
さしもの伊達もなれてはいたらしいが、半ば首をかしげている。
「Tensionが同Levelってことか?」
「――確かに」
深く考えるようなものでもないような気がしてくる。
佐助たちは、此方に向かって「余計な事を考える必要ないでしょう?」と、無言で脅しにかかってくる(ようにしか見えない)鬼庭の笑顔にびびりながら、無言で移動の用意を始めた。
「打ち上げ、くんだろ?」
「いや、今日は真田の旦那もいるから――」
「いいじゃねーか、天守閣ならもう既に一匹紛れ込んでる」
「ははっ」
佐助は佐助で、「こっちはこっちでなーんか不安な組み合わせなんだよなぁ」と政宗と幸村の微妙なライバル関係を思いつつ、それでもYES以外を受け付けないALASTORの殿さまに、降参の合図を投げた。
肩をすくめてみせることで。
カットしかけたシーンより 綱元×成実疑惑話。がちほもですか?いいえ違います(たぶん。書き手の口癖は「私BL書けません」(え?衆道ならいい?そんな馬鹿な