「つかん」
高価なライターを使う彼は不器用で、一度試して駄目だとみるともう拗ねた表情を見せた。
「分かりましたよ」
といいながらも、ため息がもれる。
――俺が着けなければ吸わないだろうに。
わざと大人げなく、いってみせているのか、それとも本気なのか。佐助にはたまに幸村がつかめなかった。
佐助の主――今やこのシマの頂点に君臨するボスは、そういう仕草をするとあまりに幼いのだ。
だというのに……
「……助かる」
火をわけるついでに何故だか、引き寄せられた首筋には息がかかり、ぞくと産毛が逆立つ。
「シークレットブーツなどはいてくるお前が悪い」
身長差を理由に、やむを得ず近づいたかのようなことを言うが、実際はそこまでの差はない。
そんなこと、幸村とて分かっているはずだ。
何せ、彼たっての希望でのこの変装が、ブーツを選ばせたのだから。
なのに、目の前の彼は、分かりやすく不貞腐れてくれるのだから、たちが悪い。
「なら変装なんてさせなきゃいいでしょうが」
「お前は俺のものだ」
また何を……と、そう、笑い飛ばすには困ったことに視線が真面目すぎた。
「俺は自分のものをみせて、誰かにさらわせることなどせん」
――しっておるだろう?――
つめたいような暖かい眼を笑う瞳に、自分はとっくの昔にとらわれている。
――どうしてくれようかね、このおひと……。
佐助は、静かに息を吸う。
さも自然に己の名を呼び、差し出される腕。
眼がまるで抗うことなど許さぬよう、強い熱を湛えるのは気のせいなのだろうか。
「……忠誠を」
さしだされた手の平に口づけを……。
佐助のその行為を、幸村はごく自然にうけ、再びエスコートを促した。
――猿飛佐助(俺様)はボディガードなのか、はたまた従者か。それとも――
分からない位置に、佐助は内心揺れる。
「あまり無茶はしないでくださいね」
本当に欲しいものがそういうポジションでないと、己でも知っていたから。
好きなものを書きなぐってみる その1。同じノリで伊達慶次書きたいです、次……