「あ……」
朝起きて何気なくカレンダーをみた佐助は、赤い丸印に声を上げた。
今日は幸村の誕生日だ。
さてどうしたものだろうか。
去年は確か撮影中だったからよかったのだが……
――今年は?
ネタを考える。
ブランドの服は意外と撮影時にデザイナーに強請っているようだから却下。
正確には(本人はそのつもりないんだろうが目が口ほどにものをいってるもんだから、デザイナーの方が負けて勝手に与えてしまうらしい)
アクセサリーは慶次あたりがあげてしまいそうだ。
「かぶるよねー」
それは避けたい。
ぼやきながらリビングの方をみたら、珍しく早く起きてしゃんとしてると思ったら、
「……」
もくもくと。
ただひたすらにもくもくとゲームをする幸村がいた。
朝からそれかよ! と思う反面、
――その手があったか。
ゲームソフトはいいかもしれない。
妙案を思いつく。
しかし……。
「むぅ」
なぜか唸る幸村がいた。
巻き込まれるのも怖いのでちょっと離れたところからこっそり覗く。
――ふぅん……。
すると、どうやらそれはクイズであるらしい。
息詰まっているようで、なかなか幸村は凍ったまま動かない。
――あーダメだ。そういや、この人一時間でレ○トン教授詰まって投げてきた。
謎解きはもちろんだが、パズルも向かないらしい。
頭使うのだめだしな、と佐助はあきらめた。
ついでに、アクションは……
「仕方ない、バトルヒーローズでもやるか」
――あ、やっぱ買っちゃってるよね。あれもありかなって思ってたけど。
そうなのだ。
本人が有り余るお小遣いでかってしまうのである。
こないだ叫んでたと思えば次の日にはある状態だから、それこそかぶりやすくて仕方ない。
――てか、なんか、最近。旦那、PSPしか使わないよねー。……はっ!!
「……まって!ちがう!」
* * * *
【SIDE 慶次】
翌日。
「誕生日おめでとー」
「おお、ありがとう。慶次殿」
「今年は趣向をかえて、ブランドもんじゃなくてね。知り合いのデザイナーに頼んで、作ってもらったんだ」
「だからか、シンプルでいい!」
「そっか。喜んでもらえてよかったよ。他には何もらったの? 元就はまだ現場だけどきっと後でなんかくれると思うけどさ。他は?」
「社長からは大河ドラマのDVDセットを。プレミアでなかなか見つけられなかったのだ」
「へえ、よかったじゃん。――で? 佐助からは?どうせそれが嬉しくて、さっきからそわそわしてんだろ」
自慢するんなら自慢するで、はっきり見せてよ?
慶次は促すと、誇らしげに胸を張った幸村が、
「これだー」
じゃじゃーん。
効果音を口走りながら、取り出したそれは……
「DS?……持ってたじゃん」
呆気にとられて、慶次は言った。
――あれ? それともソフト?
「ちがう、こっち!」
取り出されたのは……
DSのペン。
ボールペンタイプのしっかりしたやつには、緑と赤のリボンがご丁寧にかけてある。
どうやら、ケースも一緒にもらったようだが、そちらはどうでもいいらしい。
「あ、そっか」
浮かぶのは、爪で無理矢理DSをいじっていた幸村。
何度、買えば?と投げかけても、「大丈夫だ、爪でいける!」と、必死に画面をいじっていた時期があった。
「幸村、ずっと失くしてたもんね。よかったじゃん」
代わりに、PSPを持ってくるようになっていて、うっかりわすれていたが……
「これで、まさゆき地図の続きが……」
おおはしゃぎの本人前に、今更やせ我慢の件など突っ込みづらく……
「はは、はは」
慶次は遠い目で笑う他なかった。
ちなみに、その後幸村が元就から貰ったプレゼントはレッスン用ダンスDVDだったとか。