「ありがとう」
にこやかな笑顔で今朝いくつめかになるチョコレートを受け取る自分に周りはうらやみの目を向けていた。
確実にもてていた。
しかし、もてる=彼女もちとは限らないのが現実だ。
周囲は勝手にいると思い込んでが、実際彼に彼女という存在がいたことはなかった。
全てはタイミングと……もてるがゆえの思い込まれによるものだ。
…………と、高校の制服に身を包んでいた3年前を思い出して不二はため息をついた。
流石にそろそろ誰か〜という気持ちも出てくる時期だ。だがルックスから女が近寄るせいか、合コンには他メンバー(男)にうとまれて呼ばれず……最愛の弟には先日、非常に可愛い女の子を紹介された挙句、
「あ、っと……俺、コイツとその……」
もじもじと、なんとも彼らしい照れた調子で聞かされた言葉が「ずっと付き合ってる(多分結婚もかんがえてるんだろうね?)彼女」とのことだ。
ましてや青学面子にいたっては会うたびに「今度こそ不二の彼女、つれてきてくれよなー」「俺らには見せたくないのだろう」だの……
乾ですら、「美人の確率、100%」ときている(ばれちゃいない)更に悪いことに、ほぼ全員が彼女もち(少なくとも一昨日の飲み会のメンバーは)なのだ。
「なんで僕だけ……」
ぽつんと呟けば、横からすかさずワインが注がれた。
「まあまあ」
宥めるのは自分と同じかそれ以上に昔からもてる幼馴染――佐伯だ。
「でも俺の友達だといやだろ?」
「それはちょっと……」
「まあ飲めよ」
すぐ殻になったグラスに、こぽこぽと音を立てて佐伯は笑顔を浮かべた。少しだけ困ったような、しかたないなーという声が聞こえそうな表情で、
「不二は贅沢なんだよ」
と、そう付け足す。
かくいう、佐伯は女に器用なタイプで、不二はそれを知っていた。同等にもてているはずが、彼は女を切らしたことがなく(遊びというわけではなく常に彼女がいるのが憎い。途切れないのが……)逆に不二は「付き合うにはちょっと」と敬遠される。
「なんで僕にはいないんだと思う?!」
ピッチを上げた不二が毎度のパターンで文句を言い出すのにそう時間はかからなかった。
「ほんっと……!初彼女になりそうな子は手塚が目当てだったし」
「ああ……」
適当な佐伯の頷きに、一気にまくし立てるのは最初に好きになった子のことだ。
「ちょっといいなっておもったら 次の瞬間には英二のことすきだって相談されるんだよ?!」
あれは本当に悔しかった、と吐露すれば、慰めの言葉もでないのかとおもいきや優しくない幼馴染は
「ケンタロウにもいるのにな」
とんでもない発言をしてくれる。
……あの、ルパ●の間違ったのみたいな後輩にまけるなんて……!
と不二が思ったかどうかは伏せておくが、非常に機嫌が悪くなったことに変わりはない。
本気で馬鹿にしているとは思わないが、佐伯のくせに……と古馴染みの気安ささから思ってしまう。
――僕を怒らせるようなことをわざわざいうなんて、ゆるしがたいね。
「今日佐伯のおごりね」
言い切って、拒まれないことも知っているから、さっさとカウンターに手をふった。
「もう一本あけてください」
「お、おい……ちょっとそれは……」
どんぺりは取り下げてやるのだけれど、不二のオーダーしたワインはそれなりに高価だ。佐伯は「悪かった!もういわないから」と何度か頭をさげて平謝りし、ついでに
「一度、本当にお前向きの紹介してやるよ」
そういったが、それがまた新しい悲劇をもたらすことをお互いしらずにいた
そんな毎度の光景シリーズ(剣太郎ファンの方、すんません・汗)
彼女のできない不二(+愚痴られる佐伯)の他にも、
趣味の合わない跡部と千石の彼女談義とか。他色々
彼女の出てこない彼女話てよくないか?と提案。
PDBより改訂版。