「何きてんの?」
学校前で待ち合わせなんてはやんないのに。と千石は笑った。
薄ら寒い中途半端な笑みに相手が凍る。
それがほんの少し面白い。
(俺って性格悪くなった?)
「お、お前――」
(だとしたら跡部のせいだよ?)
そのままの乾いた口調で言う。
「俺、別にこっちまで来いとはいってないじゃん?」
「気がむいたんだよ、悪りぃか」
普通ならきしょくわるっ ……とか逃げ出してたはずの男の拗ねた顔も、このつくりの綺麗な顔でやられるとちょっと「ぐっ」ときてしまう。
(こまったもんだね。)
愚痴りたくなって、行き場の常連(南)を思うが、効果はほぼない。
「で?お前はどうするてーんだ?アーン・?」
本来のペースを取りもどした跡部が言った。
可愛いよりこっちの方が格好いい。
……当然だけど
千石はなんだか気分がよくなった。
(そか、俺オトコマエがいいのか)
「悪いよ、跡部。俺が、これから氷帝行くつもりだったんだもん」
「は?きてんじゃねーよ?」
(ほら同じこというくせに)
「うん。だから行かない。折角本人ご登場だし」
「狙いは俺かよ?それともめしか?」
「両方」
現金な俺の方が俺ってやりやすいでしょ?
なんて本音プライドの高いお前の前じゃ言わないけど。
付き合いが長くなると分かる微妙な差がなんだかもどかしい。
(最近勢いがなくなったし)
自分は攻めるタイプなのに、「格好いい方」にひかれてて、うまく走れない。
「ね、跡部」
「アーン?」
「すごんだって無駄だよ」
(俺、知ってるもん。精一杯強がってるこの阿呆なほくろ)
酷い表現だけど本気だ。
「さっさと……ちゃえばいいのに
負けちゃえばいいのに
そんな跡部を見たくないから千石は口に出せない。
「さー、取りあえずいこっか」
「飯だな」
「そ、跡部のおごりね。……俺、ステーキ!!たべたい!ステーキ!」
「さわいでんじゃねー」
「目立つ?」
「……わかってんじゃねーか」
「いいじゃん」
いいじゃん 一緒にいるって感じで。
目立つのは一人でも同じだから。
千石はせいぜい声くらいで跡部にかってやるかと馬鹿なことを考えながら跡部の肩にしがみついて、
「さ、いこいこ」
前に進むよう促した。
「おい、千石〜!!部活だぞ〜〜〜!」
後ろから南が(絶対嫌がらせだ。愚痴への報復にきまってる)叫ぶけどきになんてならない。
テニスでささくれだった指に、偶然ふれた瞬間が、嬉しくて、千石は
「やーだね!いかねー」
南に怒鳴り返した。
周囲へのアピールその2
この男は自分のもん。
―ー俺はこの上質な彼と一緒にいて、猫みたいに運良く暮らすの。
「跡部、ネコって好き?」
「ああ。飼ってるな」
「へえ」
どっちが好きになるかな?
今いるネコと俺。
「ネコって縄張り意識強いっけ?」
「かもな。でも時に寄っちゃ上手くいくぜ?」
「ふうん」
そうなるといいけどね?
「無理かも」
「何言ってんだ?頭、わいてんじゃねーのか?」
「そうかも」
俺、縄張り意識なくてもさ、跡部への意識結構強いと思うし。
おかしくってもいいや。
短めなのは「ねたすぺさる」で統一