■ ぱんだぱんだぱんだ


 質問・どうして男の子の会話は不毛なのでしょう?
  /答え・せざるを得ないのです。(真剣はNO。男の「子」だからね)

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「ね、南。夢でさー出てくんだよ」

 昼休みはわりとのんびり屋上でお食事。
 クラスだと女の子が誘いにくるけど、今日は我らが部長と語らいたかった。

「だれが?」

 絶妙の地味な聞き具合。
 南は茶化してきいてるわけでもなく、なんとはなしに聞き流してくれそうだからまずい。
 つい話したくなるではないか。

「……ナイショ」

 言葉は飲み込んだけれど。

 「ナイショ」の響きと必要性に、胸のあたりがきゅっと詰まった。

  「まあ別にいいけどな。で?」

 そうそう本題。
 ぱくりとサンドウィッチ(食堂のお姉さん特製)にかぶりつきながら、

「茶のCMあるじゃん?あれ?」

 できるだけ軽く言ってみる。
 ……いや、ほんと、軽い内容だけど。

「あーパンダ。そういえば、取らされたな」

 お前に、と言外に含む南君。

「うん、ありがと。大切にしてるよ」

 ……多分。
 俺じゃない別の人の手に渡ってるから、わかんねーけど。
 そう、あのパンダが全ての原因!(てことにしときたい)
 パンダめ。
 あれが夢に出てくる。それが今日のお題。

「あれでさ、うばっちゃったって俺の××……」

「たんま!それ待て!言うな!千石!」

 あらー?
 純情ボーイにはご法度?
 んー。きよ困っちゃう。

   茶化してないとまずいこともある。
 部長の親切さに口が滑ったらたぶん自分が許せない。
 何も問題がないことは分かってるし、南の苦労を増やすのがいけないとは欠片も思わないけれど(非道)
 その噂のお茶(今気づいたら下の階で買ったパッケージがそれだった)を一口。

 ごくん。

「たんまはねーべ?」

 取りあえず気づいたところから、つっこんで……

「お前のほうこそめんごはまずいだろ」

 ああ……フモウだな。会話。
 俺は思いながらも続きを話そうとして、硬直。

「年上のお姉さんは永遠の憧れだな」

 極論だよ、南。
 しかしどんぴしゃだったから、できるだけシニカルに見えないように笑顔を浮かべなおして、そっちに向き直った。

「そう?手に入っちゃうってわかるから俺は嫌い。年下、可愛いーとか言ってさ」

「ん?」

 すると南は目を見張って、お茶のパックを落としそうだったので奪ってみた。(パンダじゃないけど)

「どうかした?」

 そのまま飲み干して、はじっこのゴミ箱に投げる。
 そういや、屋上のゴミ箱は誰が処理しているのだろうか。

「いや……その、お前が何かを嫌いって言うの珍しいなと思って…(ぼそり)ことに女関係……」

「ああ、言われてみれば」

 やはり南は鋭い。
 人をよく見てる。
 だから部長さんなんだね?(←失礼)

「どうした?」

 その静かな質問に泣きそうになった。
 パンダの馬鹿め。
 俺は自分のお茶を飲み干す。

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 帰り道、公園によった。
 パンダのせいではない。
 ここで会ったお姉さんが美人だったからでも、なんとなく黄昏たかったわけでもない。
 CMもその他も……もう綺麗なお姉さんなんてどうでもいい。
 パンダもって微笑んでる優紀ちゃんを思って苦しいだけ。

  「ちぇっ」

 やっぱいないか?
 単純で可愛いとこのある年上のあの人ならまさか……と思ったが、公園はしーんとしてた。

 ん?

 帰ろうと背をむけたその向こう、自動販売機のとこに見慣れた影。
 ちっちゃくて細いなーって思う、いつも見てたい背中。
 あれは……

   優紀ちゃんはちゃりんと音がしそうな、コイン投入をして、例のお茶を買ってた。
 俺は背後をとって(大得意)コンコンとその肩をノック。

「?」

 振り向いた無防備に、「うばっちゃった」とやりたい衝動に駆られるけど、男の子だからね。
 それはやばいデショ?
 パンダ抜きじゃますますマズイ。

「何してんの?」

 にっこりスマイル。
 少年印の笑顔なら、彼女もにっこり。

「キヨ君か、びっくりした。どうしているの?」

「ん、学校帰りだよ。そっちこそ、どうしたの?」

 あっくんがらみだったら嫌だな。
 遠出の彼女に用件を聞きながら、心臓をばくばくさせた。
   彼女は可愛らしくえへへと笑って(そんな笑い方ないけど、聞こえたかに思えた)

「これがほしかったの」

 という。
 これって何?
 のぞきこもうとしたら、

 パクッ

 やられた!

「うばっちゃったv」

 隠し持ってたらしい、左手のパンダ。   あっけにとられる俺に優紀ちゃんは「やってみたかったから」という。  でも、その声も聞こえない。

「どうかした?」

 そんなに近づかないで。
 悔しいから。

 ちゅっ

 パンダにもう一度口付けをした。

  「キヨ君……そんなに好きなのに貰っちゃってゴメンネ」

 好きなのはパンダじゃなくて貴女です。
 いえるはずもなく……

 公園から分かれ道までの数分、また他愛も無い話をするだけ。

「優紀ちゃん、パンダ集めてるんだ。ならさ、今度はクリスマス版パンダいる?」

「えっ、何それ?」

「ゲーセンでよく居るの。そいつのサンタバージョン」

「見たことない」

「よくあるけど?でも、俺も欲しいからなあ」

 あげようかな?
 とれたらどーしよー?

 おどけて見せて、

「じゃ二個とれたらね?」

 大人でわがままを言ってくれない彼女に、何とか欲しいといわせたいのに玉砕したり。

「あっくんにとってもらおっかな」

「駄目だよ、あっくん下手だから」

「え?キヨ君、一緒にやったことあるの?」

「そう。いいデショ?」

 なんて、自ら痛いネタふったり。

 ああ、不毛で愛しい会話。

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 質問・どうして男の子の会話は不毛なのでしょう?
  /答え・せざるを得ないのです。(真剣はNO。男の「子」だからね)

   そのうち、質問文ごと変えたいのですが。(男の子⇒男・希望)

 

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