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EPISODE:00> Three month ago〜再会〜(SIDE ATOBE) まさかこんなところで会うとは思ってもいなかった。 「あっれー?跡部君も来ちゃったの?」 自分も事情がありました、といわんばかりに――だがあっけらかんと言う人物の名前は忘れられるはずもなく、跡部は「アーン?」と昔と同じ調子で返してしまった (ここはソウイウ場所ではない) 気楽に話せる人間などいていいわけがなかった。 「何強張ってんの?俺がいたからびびった?」 「千石、てめぇ……」 「あ、何でここにいるかって?全部は話せないよ。ただ……ま、跡部君ならいいかな」 「……んだよ」 「雇われてんの、俺。君の会った人に」 会った人、つまりはここに跡部を連れてきた人間ということになる。 「先生、元気だった?」 「っ」 「ありゃ驚いた?俺のいったこと、カマ賭けだとでも思ったのかな。……でも、悪いけど俺は知ってる」 何を、と千石は言わない。 (だから当てにしろとでもいうのかよ) 先ほどの会談で全てを取り上げられ……だが多くを守ることに成功した、そう信じていた。 (これからが試練ってか?) そして、千石は警告を発してくれている。 (観念するか……) 先ほどまでは「誰か」のため。 (それがコイツだっていうのは、癪かもしれねーけど……) でも、運がよかったのかもしれない。 にっこりと話しかける千石の神経には目を見張る物があったが(ここではとんでもないことが行われていることだけは確かだったから) (――考えてみればこういうヤツだったな) 昔から勝手に懐に入ってはすり抜けていく。 跡部はすんなりと、ここに溶け込んでいる千石に畏怖するでもなく、憤るでもなく、妙な納得をしていた。 (時間がたったんだな) 変わらないことを望んだわけでも、そもそもまた会う予定もなかった相手なのに、無性に不安がこみ上げて、気付けば呟いていた。 「テニスコートはあんのか?」 「はは、本当テニス馬鹿だね……」 「てめぇはもうやってねーのか?」 「……久々、かな。真剣にやるんならね。時おり遊びではならしてるよ」 「なら付き合え」 やめていなかったのか。 「地下はしょぼいよ?数日中には訓練がてらきちんとしたコートに連れて行って上げられるけれど?」 「場所なんてかまいやしねーよ。……やんだろ?」 「果せのままに」 悪戯っ子のように笑う千石は先ほどより幼く見えて、その表情に少しホッとしながら、「早くしやがれ」と案内をせかす。 「何もたもたしてやがる。てめぇはここにいんだろ?」 「方向音痴なんだから仕方ないっしょ。あーあ、これから跡部君に色々教えんのやだなー」 俺より先に覚えそう。 「おかげで俺様と対戦出来るんだ。ありがたく思え」 「そーだね」 それならば、悪くない。 |
written by MAYMOON