きりはらくん の だいぼうけん その3 |
やってきました、氷帝コート。
王子様っていうとお金持ちのイメージがどうしてもある。
あそこって門もコートもでっかいらしい。(俺はまだいったことない。写真みただけ)。
こないだの練習試合も、すごかったしな、いろいろ。なんかいろいろ。パフォーマンスとかいろいろ。
誰かはいるかもしれない。
潜入するまでもなく、いきなりすっげーの見っけ。
「ん?」
えーと、なんかサラサラしてる。髪。
輪っかができてんの、柳生先輩みたい。
ふんいきもやぁらかいし、OKっていいたい。
け・れ・ど……
なんつーの?
にこって笑ってる にこって。
その、手、にもってるのって何?
なんか、俺の目がおかしくなきゃ、それ、バトミントンのラケットっしょ?おいおい……(だいじょぶか、不二…周助、だっけ?)
「不二〜!!!」
と、後ろからすっごい形相の人きたこれ!
ゴージャスで、やたら怖いが男前。で、ほくろがセクシー……って……
ああ。
あのコールのふたりか……。
おうさまと――。
「俺のラケット、どこにやったんだ?代えがそれだとかぬかすんじゃねーだろうな?あーん?」
「うん?なんのこと?」
「『何のこと?』じゃねぇよ。あのな……」
うん。こりゃ駄目だ。
顔だけはありって思ったけどこんな悪戯するひと(しかもすっげー楽しそう)はなんかなぁ。
それなら幸村ぶちょーと変わらない気がする。
うん。
で……
「アーン?」
こっちの人は、おうさま、ぴったりだよなー。
こうしてみると美形だと思う。(むかつくけど)ただし迫力系すぎる。
あのコールきいて「納得するよなー」ってぼやいてた丸井先輩に一票。
テニスウマいのは知ってるし、たしか部長だった気がするけど俺のめざす王子様とは離れすぎ。
(テニスと部長なら幸村部長のがいいし。あれ?同じようなこと言ってた?俺)
ひとまず、もうこの学校だめっぽいし、見つかるとややこしい(まきこまれそうな)ので隣に移るか。
で、その前に……っと対戦相手は六角?千葉ね。ああ。
へ?
あそこにいるの、なんか映画でみたことある。
そうそう!ナルニア。
意外と映画好きな仁王先輩がさ、急にチケットあるって言いだして、こないだの帰りいったんだ。
で見た中にいたよな?あれ。
いっとくが王子じゃない。
つーかひとだったっけかな。
うーん。なんか、でもすっげー似てんの!
それだけは分かる。
そっかそっか、ナルニアか。後で報告しよっと。
あ、でも横――
今――
王子?
歯こぼれしてた。きらんってこぼれてた。
さらさらの髪に、にかって笑顔はすっげーうさんくさっ……
王子っぽさはある。ある。絶対ある。
あーーーー!でもなぁ、なーんかやだ。
偽物王子。
そうそう、偽物っぽい。あの王子は。
うーん………
…………………………………………。
…………………………………。
…………………………。
ん?あれ????
そういや、そろそろコートでないとここ試合だよな。
やっべー。
てか、あれ?自動販売機発見。
そういや、俺、今日のドリンクあんま好きじゃないんだよな。
今日、真田先輩の番だから、たぶん○ねるげんだし。おれはポ×リかアクエ×アス派なんだ。
じゃあ自分でもってこいって?
マネがいないから立海(うち)当番制なのが悪いっしょ。
うーん。どうしよう。
ちょうど百円もってっし。
行くか?
ん?
あ?あそこにいるのって………
じーちゃん。
あのじーちゃんじゃん。
取りあえず話しかけてみよ。生きてたんだ、まだ。
じーちゃん、元気?
* * * *
結局、なんか分かんないけど時間になるって審判の人に追い出されて、俺はコートに戻った。
何しにいったんだか、忘れたからいいや。
「赤也、なんだ?その手のアクエリア○は」
あ?これ?
もらったんすよ。じーちゃんに。
「じーちゃん」
そうそう。
ゆ、幸村部長?
あれれ?なんか、もしかして怒ってないっすか。
それにしては穏やかな表情だけど。でもなんか居心地が……あんまりよくない。
て何でみんな寄ってきてるんすか。
何?何?なんで?
えーと?
首をかしげてそっちをみてたら、幸村部長が急に目線を合わせてきた。
俺、最近背もちょっとはのびてっから。
あえてしゃがまないでくれねー?
あのさ……
「赤也」
「……っす」
「めっ」
痛た。痛いっす。
デコピンってアンタ……(いつもよりずっといいっていっても、パワーありすぎだろ、このひと)
うわー熱いよ、やられたとこ。
「知らない人にもらっちゃいけません」
えーーーー?!!
知ってるから!絶対ぶちょーも知ってるから。
あのじーちゃん、六角の、じーちゃん!ほら……
「はいはい。じゃ、着替えて。出番だから」
もう?
「そう。たまには、赤也だってやってみたいだろ。シングルス2」
そりゃ、もちろん。
今日だってちょっとは、少なくとももしかしたら3くらい、ちょっとはやらせてもらえるかもなーって淡い期待してきたんだ。
3強も手塚先輩もいるし、無理かなーとは思ってても期待はな。自由だろ?
「だったら、打たせてやるよ。ほら、準備する」
はい!
やったー!!!なら、俺、王子とかどうでもいいや。勝って一番になる。
「そういえば妙なこと言ってたね。何?目標か何かなのか?」
いいえ。おれの目標は先輩方(っつか、一番の目標は先輩)なんで!
さーて
だいぼうけんはここまで。
そしてここからが冒険の本番っしょ。
俺が勝ったら喜んでくださいね。先輩。
後ろの方で、「けど、相手あのへんな王族ダブルスのかたわれだぜ?」とかいう声が聞こえたけどそれは聞こえなかったことにする。
てか、王族ダブルスって?????
げ。もしかして、次の相手って王様かよ!!!!
(そういや練習コートと試合用コートって別々なんだった……。相手六角じゃなかったんだ……)
ま、うちの先輩たちは王子様なんかよりずっとかっこいいし、
王様相手でも余裕で勝ててるってことで。
俺も、1セットは取ってやる!(取りあえず)