少し前にこちらの国に戻ってきたばかりだというのに、屋敷の人口密度は異様に高かった。
リョーマは、一人棺おけで暮らすのもなんだかなとは思ったが、正直ここまでオープンに生活するようになるとは思っても見ず、原因達を覗き込む。
原因その1――不二周助はこの辺りで一番の古株だ。無論、吸血鬼として……。
その2も相当に昔からいるらしいが実際の年齢については聞いていない。ただ昔は無邪気だった模様で、名残は見受けられるが、今は女遊びが激しいのが玉に瑕だ。単なる食事、という話だが。
要するは内訳、居候の二人+猫1匹。
ついでに時おり見回りと称して、どこかの軍の隊長がやってくる。
不二【先輩】の知り合いらしい。
「でもさ、俺、ほうっておかれるの 弱いんだよね?」
居間ではくつろぎ切った居候その2菊丸英二がティーカップを器用にぐるぐる指先で回している。
答えるのは微笑を崩さない少年だ。
「ふふ、よく言うよ。そういって何人おとしてきたの?」
「しかたねーじゃん。食事なんだからさ。……って 不二の方がそれいうなら非道じゃだろ?」
「そうかな?ちょっとくれないって聞いてキスしただけだよ」
ただし、首筋にね?
そう、小首をかしげる様は、それこそ可愛らしいのだが、この中で一番どころか付近で一番の年寄りなのだ。
老獪さをうかがわせないところが恐ろしい――。
知っているリョーマは抜き足差し足、居間を通り抜け二階の自室に戻ろうと試みる。
が――
「ああ、越前。戻ってたんだ?」
――知ってたんならわざわざそんな言い方しなくてもいいじゃん。
と思うリョーマである。
だが、
「そういや、おちび、城に出入りしてるってマジ?」
「………」
そう思ったところで後の祭り、
「へえ、越前が。やるねー……あ、これじゃ誰かさんの口真似になるかな」
「不二、なんだよ、それ?」
「女じゃないよ。ご同業のまね」
「ならいいや」
全くろくでもない会話である。
食事(女)になら、分けてくれろ、と暗に言う英二に、それはいいけどね、と返す不二。
しかもそのご同業とやらは相当牽制(ないし何某かの被害を被るようなこと)をされたにちがいない
「ところで、先輩たち、食事はしてきたんでしょ?」
「うんにゃ、まだ。ってか、だからこれから食べにいくけどおちびは城?吸って来ちゃった?」
「ふふ、無粋な質問は止めておこうよ。ただこれから城に行こうと思うんだけど?」
――つまり来ないと俺の獲物は全部もってくよってことっすね。
諦める他ないらしい。
大体、最初見つかってしまった瞬間から(もっと言えば「彼女」のことを知られた瞬間からなのだが、それが何時なのか、どうしてばれたのかすらわからないので一先ず置いておく)こうなることは目に見えていたのだ。
「……ついてきゃいーんだろ、こんにゃろー………」
「何か言った?」
「……いいえ」
格下だからとはいえ、大人しくする気はなかったが、魔王モード降臨をそうそう味わいたいわけでもない。果たして今晩の食事は決定した。
――絶対竜崎の血は吸わせないけど。
向こうで千石@王妃=優紀ちゃん狙いに出くわして、タッグを組む羽目になるのは別の話。毎度のことながら、散々からかわれた挙句、古株二人は適当な女官の血を端から味わって去っていくのだが……。
TO BE CONTINUED
ブログ、懲りない彼らと悲惨な家主、改訂。
後もえんえんとリョーマの被害が増えていくだけな話
まともな36の出会いも書きたいような……