※桂、高杉が諸事情により捏造で出てきます、てか出張ってます。スタートだけ、なんですが……。それでもよければ……へたれ不知火好きな方はどうぞ。スクロールを。
「、行くぞ」
「ってよばないでよ。幾っていって」
「――なぜ、その名なんだ……・」
ちぃっと舌打ちをして、桂が言う。
「適当に選んだだけなんだけど?」とこたえると、「もう二度と別の名を名乗らない、んじゃなかったのか?」とやりかえされた。
――なんで、高杉に言ったことばを桂がしってんの?
本当は分かってる。なんだかんだと高杉は私のことをコイツにしゃべっていたんだ。
は肩を落として見せた。
降参の合図。
「分かったって・・・…それより、移動するならはやく」
ここをでようと。
そう、急かそうとしたとき、前をいく桂の様子がかわった。
「――待て」
此処にいろ。
といわれて、足が竦む。
【お前は此処で待っていろ】
――高杉……
あのときと同じだ。
引き受けるように「行くぞ」と、強引に手を引っ張った桂をいくら恨んだけれど……
「?」
大丈夫か?と覗きこむ桂に、やっと、我にかえる。
「見つかったの?」
「いや――知己だ」
「え?」
「お前の」
そうして――何事もなかったかのように、桂は場を開けたのだ。
目の前を、しごく当然のように。
「よお」
会えば、同時に、嫌みが出るはずの男は予想に反して、静かに続けた。
「迎えに来たぜ」と。
心底言ってほしいと思っていた彼の台詞を取って。
***
「なっ、」
「なんで?じゃねーよ。なんで?じゃ。そりゃこっちの台詞だろ」
「いや、まだなんもいってないから……」
「言ってるようなもんじゃねぇか。なあ、桂さんよぉ」
「――ああ。は分かりやすいからな」
――何、なに、なんで??? なんで、分かりあっちゃってるの?これ…・・・
目を白黒させてるに対して、男二人は当然のように、ものの受け渡しをしている。
小さな巾着と、風呂敷包み――見慣れない幼子用の羽織。
「え、と……」
「悪いが、此処からは」
「俺と来てもらうぜ?」
「なっ、」
「此処は嗅ぎつけられてる」
「そういうことだ。しかもご丁寧に、敵さんは、女連れだって情報までもらしてくれてる。――どうする?」
「……――」
どうする?といわれても、女連れとばれているようなら、二手に分かれた方がいいに決まっている。
しかし、桂のことだ。と、は思う。
――合流する気はない、よね。
なんのかんの高杉は、に甘かった。
あれだけ、邪魔ならば斬ってもいいといったいのに、別れれば探し……(正確にはこの男――不知火匡がさがしにきたが)合流するまで場所を変えてでも待った。(むろん、仕事をその間にかちっとおえてもいたが)
それに対して、桂は徹底的な現実派だ。
少なくとも暫くの間の合流は無理だろう。
――またこっちから、押し掛ける、っていうのはありなんだろうけど。
けれど……実際邪魔、なのだ。そして、だって分かっていた。高杉の影をみようとしても、もう桂は桂で……桂にしかみえない。邪魔になりつづけるには、桂に近づきすぎてしまっている。さりとて、高杉の代わりにもできない。
「案ずるな――。機会があればまた会う。それより、不知火といて余計な騒動を起こさないかということのほうが、あいつは心配していそうだがな」
「「なっ」」
思わずはもったのも、高杉なら在りうる、と想像してしまったからなのだが、その様子をたのしむように桂は傘を被った。
見た目、虚無僧のようになりきって、裏口から出る。
「お前たちが高杉の横につけているのは正直面白かった」
「桂――」
いいながら、桂の顔が一瞬、近付く。触れる寸前の耳元に残されるは…・・
「――、喧嘩相手でもいた方が気がまぎれるらしい」
「てっめ…・!」
聞こえなかっただろうに、不知火の怒鳴り声が聞こえた。(地獄耳なのだろうか?
桂の視線が示すはその怒り顔。
――ああ、そういうこと?
なるほど、なんのかんの高杉のことをしるものがいないと、不知火は高杉を忘れそうで怖いのだろう。
――昔っから、へんに情と頭の弱いやつだったもんね。
と、失礼なことをかんがえるうちに、桂はふわり。
「へ?」
髪をはぜ、すぐに距離をとってしまう。見えなくなる後ろ姿は、きっと――最後じゃないはずだ。
――桂はそこまで柔じゃない。
高杉も……そうではなかったけれど、桂の狡猾さは、今のにはもういやになるくらい分かっているのだ。
信じよう。
思って、ふと横をみれば
「なんだよ」
早速【いつもの】悪態をつく、不知火匡。
「別に。……桂といたのも、思ってたより短かったなって」
「なんだ? てめぇ。惚れたか」
「馬鹿。――私はそんなに惚れっぽくないよ?」
「知ってるでしょ」と声に出さず問えば、「あー、まあな」と、謝罪とも着かない声がかえってくる。
――愛するのは高杉だけ。
斬ってもいい、なんて、他の人には言わない。
――分かってないはずがないくせに。
そばにいたのだ。その横で、本当に斬ってやろうか?なんて脅していたのだ。不知火は。
「それを言うの?」
もう一度思わずこぼせば
「悪かった」
今度は正式な謝罪が降りた。
「だから……泣いてんな」
「……ないって……」
「あー……」
「ていうか、何で、わざわざ来たの? ほんとに、高杉のことで、喧嘩でもするつもり?」
最後に――あのとき、最後の最後に高杉を行かせたのは、誰か。引っかかってるのは、お互い様だ。
けれど……だからこそ、そんなことでいいあいをするつもりがない。それもまたお互い様だとおもったのだけれど……
どうなの?と。
泣きそうな瞳のごまかしも兼ねて、ワザとキツめに睨んでみれば、
本当に困ったように、頬をかく……鬼というより悪ガキみたいな成人男子が一人。
「お前がいないと、調子くるうんだよ」
何と応えていいものか。言葉を見つけるよりさきに、やつは、すぐさま動き出してしまったのだけれど。
――本音なのかな。だとしたら……?
だとしたら、どうしたいのか。
取りあえず、コイツに付き合ってやってもいい。高杉がいない世界ならば、別に目標はないのだから。ただただ彼の足跡をどこまでたどれるか見るくらいしかできないのだから。
「行く」
「あ?」
「連れてってよ。行くから」
「ああ」
こうして、二人の――高杉だけをのこした、あの頃のままの旅が始まる。
新しいようで、旧い……懐かしい組み合わせで。
END
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