日常1

「ねえ、しらぬい」

「てめっ、呼び捨てにすんなよ……っていってもきかねーか」

餓鬼相手だしな。仕方ない。
諦めて口を閉じるも、幼女はいかんせん幼女だった。

「しらぬーい」

「ぬいぬい?」と首をかしげて、何やら口ずさむ。

――意味わかんねーって……

おもいながらも、和むのは子供だからだろうか。
そういえば、高杉も子供には優しかった

「いでっ」

返答をせずにいれば、髪をひっぱられる。
おいおいおいおい、まてまて。お前まてって。

なんせ、鬼の子だ。しかも純血にちかいときている。
どうやったって、力が上すぎる。
不知火は、慌てて手を離させようと、小さなもみじに自分の指を重ねるが……
きゃっきゃと、かえって喜ばれるだけだ。

どうしてくれようか。

可愛い、という感覚はもちろんある。あるにはあるが……

――このままじゃやべーぞ。おら?

そう。まずいのだ。
なぜならこれは……………

「不知火、何をしている」

「風間――」

「そのうすぎたない顔を童にむけて、どうするつもりか?」

「おまえ、その言い方はねーだろ」

「ほお、事実を言うと吠えるか?」

流石は傍流ぞ。風間は、敢然と――鬼を統べる王らしい調子で、言いきった。
ぐっと、歯をかんで堪える。
しかし、その間も

「ぬーい」

子供は無邪気に背中にのっかってくれるのだ。
そればかりか。

「いでっ いででっ」

やっぱり髪をひっぱる。
「お前んとこの子だろ、どうにかしろよ」と、言いたいのは不知火の方である。
風間も自体がのみこめてきたのか――

「・・・・・・・・・」

何やら呆れたように、肩を竦め――

「ま、待て、ごら」

踵をかえしてしまった。
ちょうどいい教育係を見つけたとでもおもったのだろうか?あるいは、子供のおもちゃと思って与えるつもりか。
後ろでは、何かを悟ったかのように天霧が此方を見つめ

「――励めということか。不知火……達者でな」

と、何やらとてもとても不吉な言葉を残して下さった。


「だあああああああああああああああああああ!!!! お前ら、わかったぞ、わかった!!!今日、あいつがいないんだろ? いないから、面倒を俺に押し付けるつもりなんだな!!!」


不知火の声を無視して、その背はあっという間に消えていく。
残るは、

「あそぼ!」

無邪気極まりない子供。
途方もない気持ちにさせられながらも、どうしてか。

「…………」

「あそぼー?」

「――――ああ」

こうも、笑顔を向けられると悪い気はしない、というか、ほだされるというか……
不知火は状況をとっくに享受する体制になっているのだった。


END

ぅあ、幼女つぉい