◇ メインルートに入れない ◇

「何、ここ?」

茫然とする前に、あまりのことで現実感が沸かない。取りあえず、確認。
前後左右見るまでもない……

此処は京都?

何となく、だけれど、こういう勘はあたる。
それよりも、まず……
困った時に確認すべきは「路」。人に聞いた方が早いだろうことは、景色の変化から読み取れるような気がした。

どっひゃーーーという気持ちはすっと引く。

実際、かなりパニックなんだけどこうときめたら、足が動いていた……………イケメンの方に。

「…………はっ」

ちがうだろ、わたし!
でも、仕方ない。目がおっちゃうんだからしゃあない。

ってか!!!!

「たけるううううううううう!!!」

心の叫びがまちがって、叫びになってるとは思いもしなかったけれど…………
は、そのまま何となくついていってしまったのだ。
さとうたけるバリの美形の方へ。

そして…………


「――っ」


目があう手前で、息をのむ。
彼は、子供を高く高く空へ放り投げていた。

ーーそりゃあないだろ!!!!!

わたし、は正義の人である。
そういうの、だめ!よくない! が先に来る。
もうお説教を始めたいくらい。許しがたいくらい、その行動>>>>イケメン。である。

だめ、ぜったい、だめ!

ぴんっとその正義感が宿った瞬間、イケメン怖い、というか、彼にはお説教すべきと切り替わるわけだが…………

「……………」

流石に初対面にお説教はためらわれる。
というか、微妙な心持になってきた。最初はどうだっけ?わたし、道をきくんだよな?そうだよな?
反芻を一度。

「やっぱり他の人にしよっかなぁ。あー、もう」

なんで微妙なんばっかりなんだろ。わたしはどうして、この「もしかして運命?」な状況においてすら、貧乏くじを引く? ヒロインからずれてくの????
首をかしげながらも、しぶしぶ…………肩をすくめ、意識を切り替えていく。


と、そのとき・・・・・・・・・・・・・・・

「おい」

「ひゃっ!!!」

「ひゃって、変な声あげんなって………何もしないから」

振り向けばそこに………

――子供?

「なんか失礼なこと思っただろ?お前……」

顔にだすなよ、と不機嫌そうな顔をするのは、少年だった。
自分より、ちょっと若いというか、なんとなく餓鬼臭い気がするのは、さっきのイケメンと比べてか。

「…………あ」

――あれ? そういえば。
この人の服装どっかで見たことがある…………


「ああああああああああ!!!」


「っな、なんだよ 急に」

「ご、ごめんなさい!………あ、あの、ちょっと路が」

路に迷ったのは事実で、何処にいけば分からないのもそうなんだけど!
ちがう。違うってば。いいたいのはそれじゃなくて…………

――さっきのひとと、同じ服装、ってか………………あれって!!いやいやそんなまさか。


新撰組の、浅黄なんて。


言えたもんじゃない。
さすがに、夢見る乙女思想でも、そこまで頭悪くないし、夢にしても、またさんとか、さんに、「ちゃんwwww」って笑われる!!笑われるから!

「へ?何?お前、迷子なのか?」

「あ、うん………って!!!そうじゃなくって…………あー」

あーーーー と、だんだんとしぼんでいく声。
「かわいげねー声だすなよ」とか失礼なことばが聞かれた気がするが何だろう。
この人なら、力になってくれそうな気もする

ーー単純そうだし

よし!そうときまれば取り込むっきゃない、って………………言えればいいのだけれど。そこまでいい性格はしていない。

――困った………ていうか泣きたい。

迷ううちに、彼――ポニーテール?の元気っ子風な少年は、何か感じ取ったようだ。(勝手に)

「あ、いや、俺たち、そりゃ悪い噂はあるけどさ。これでも、都の人の味方ってことになってんだけど……あー………何があったのかわかんねーけど、元気だせよ、な?」

――なんだろう。慰められてっし……

うーん、かといって、迷子です、って此処で私が申告するのも、なんか違う。上手く使うのには、悪い。でも、この人しか頼る人がいない。

――どうしよ…………

堂々巡りに入りそうになったところで

「どうしたの?」

平助、と。後ろから声をかけるものがいた。

――っ。

さきほどの、

「あ、総司、それがさ。この子が・・・・・・・って???」

「何、その子。なんで平助の後ろに隠れてるわけ?どういうこと?」

っていうか早く捨ててきなよ、とでも言いたそうな目。
何となく教育的指導をとおもっただけのことはあって、このイケメンは悪いイケメンらしい。

「あー、こわくねーって。出てこいよ、お前………」

「っ」

――怖いからやだ。

とは、流石に言えないから、なんだろう。どうしたらいいんだろう。でも、このままじゃマズイ。
ていうか、なんとなく、なんとなく、だけど、もう此処まできたら認めるっきゃないかもしれない。

――いまこの人、へーすけっていった……ってか、何???あ???これ、どっきり?

で、相手が総司。なのだ。
――夢だと思いたい。というか、ありえんだろう?わたし、頭だいじょぶか?
本当ダメだろ。いやいやいやいや………………

混乱の最中、何でだか口走ってたのは…………(※意識はしてません。口走ってるの気付かぬまま口走ってたのです)

「薄桜鬼………」

そしてそれだけじゃなくて…………


――沖田さん、「こわ……」

「あ?」と、その瞬間、目をギンっと睨みつけるように彼がこちらを向いた気が………はっきりと、した。してしまった。いえいえ聞き間違えですよ、と本人に対して言えるはずもなく…………

がしかし、

「ん? あー、泣くなよ。てか何で涙目なんだよ。お前……」

と本気で困った平助の後ろ、ますますちぢこもる他なくなる。
パニックだ。パニックを起こしているのだ。分かるが、止まない。ぐるぐるぐるぐる、どうしていいか、さっぱりわからなくなる。というかわからなくなることまで分かってるというか…………

――あーーー…・・・・

気絶でもいっそ、してしまいたいという気持ちの最中、なんで止まらない、私?
思わずつぶやいていたのは、


「かえる、とこ、ない…………(だから、どうにかしたいんだけど、なに?どうすればいいの?……なにいえば、あー薄桜鬼といえば……)千鶴ちゃん…………コウドウさ、ん…………」

「「っ」」

それが、致命的、だったというか、運命だったというのか。

「あーなんていうか、総司、この子…………」

「そうだね。どうするにしても、何か知ってるわけか。これじゃあ連れて帰るっきゃないよね」

そういうことだ。


「取りあえず君さぁ、平助の後ろに隠れるのいい加減にしない? 何を知ってるのか分からないにせよ、不愉快だから」

「まあ………悪気があってのことじゃ―」

「まあね、沖田総司っていえば一番隊組長だし、それだけでよくない風評があることは認めるけど?」

「な? なら、彼女だって別にそう他意があってのことじゃ――」

「噂をうのみにするような愚かな子、どうかとおもうよ。それじゃあ、情報の一つだって正確につかんでやしないかもしれない。――いっそ、斬っちゃおうか」

「おい!」

「何? 懐かれて情でもわいてるの、平助」

「ちが、うけどさ………そんなふうにして、」

「そっか逃げられたら困る? じゃあ、僕先にいってるから、平助、その子、連れてきてよ」

「え? ちょ、ちょっと……」

「女の子一人くらい、逃がしたりしないよね?」

平助も、分かってるんだろ?と、言外に問う言葉。


――どう、なっちゃうのか、っていうより、これって――


助かったのか、助からなかったのか。
取りあえずこの時点で、ありがたいとおもうのは・ただただ………………

「あー、もう。勝手な……。まあいっか。ごめんな?」

「あ、…………はい。いえ、こちらこそ、何だか急にいろいろ思い出しちゃって。変なこと口走ってしまって、………………ていうか、何してんだろ、私………ああーもう…………」

ぶつぶつ言いだす私に、
彼は、「悪いがそういうわけで、ついてきてもらうから」と、手を引っ張って、きた。
連行、になるのだろう。ちょっとやりづらそうな彼の様子を見ていると「仕方なく」思えてくるのが不思議だ。
というか、まだ私、混乱してるのだ。

――てか!!!てか!!!てか!!!!平助君が思ったより小さいとか言ったら怒られるというか、まだ現実わかってないんじゃ?っていうか。なんなのこれ????


こうして、の新撰組への合流は幕を開いた。



一番ヒロインっぽい子。だがメインルートってよりサブっぽい子のトリップ風味。馬鹿っぽいけど計算っぽい。だが商売っ気ありつつ夢見がちなんだが、やっぱりパニック。というわけで、へんな一人称でお送りしまふ。