◇ なでなでして ◇
※名前変換はBでして下さい。

「?」

「?」

首を傾げるソレに向かって、山崎は思わず同じように首を傾けた。

――なんだろう。
この生き物は。

「……っ」

覗きこむ小さな顔を……ジィっと見ていたら、怯まれた。
少女(というか幼女)の、表情は更に見ていくと、だんだん歪んでいく。

――っ。

山崎派、若干焦った。
何もしていないのである。危害はもちろん、まだ声すらかけていないというのに……

――なぜだ?

確かに、自分は沖田や、原田のような人当たりの良さや、子供をあやす技術は持ち合わせていない。だが、泣かれるほどひどい顔はしていない――そう、思うのだが。
打ち解けられなくとも、せめて頼られるような……そんな気でいたのは間違いなのだろうか。

――……君とは打ち解けられたというのに?

「期待の出所がずれている」、「例が悪い」……もしこの場に土方がいたら、頭を抱えるだろうことを、考えながら――


山崎はただ静かに困惑していた。


しかし、その時間も長くは続かない。子供が飽きるのは大人が思うよりもずっと早く――

「だれ?」
こっちがききたい!と叫びたくなるような言葉が、拙いながら、吐き出される。

「誰、と……」

言われても、どう説明していいものか。
この場合指しているのは「階級」なのか「名前」なのか。はたまた「年齢」(いわばお兄ちゃん、おじさん、的な)なのか。
――そもそも、俺はおにいちゃんにいれてもらえるのだろうか?
などと、関係ないことも含めて、さまざまなことが頭を舞う。
迷ううちにもあきて、やがて


自分を指差して言う幼女。

「だぁれ?」

山崎を指して、聞く幼女。


「………」


応えた方が無難なのだろう。
そこまでは分かっていたのだが、言葉がついていかなかった。

――流石に幼女を上手くやりとりをかわす任務はなかった
そういうことである。

「山崎、烝ですが?」

馬鹿正直に答えても、問題はないだろう。
取りあえず名前だけ伝える。新撰組、といったところで、こんな子供に伝わるか分からない。

――それ以前に、屯所に何故子供が?

不可思議すぎて、逆に疑いがいがないのだが(恐らく邸の子供の仲間なのだろうが)

「ざ、き?」

「――いや、山崎です」

その呼ばれ方があまりに「嫌だった」ため、思わず言い直す。
だが、かえって、「何か」を感じてしまったのか、彼女――は、うれしげに手をあげて、

「ざっき―!」

――何が楽しいのだろうか。

さっぱりわからないが、ぴょんぴょん飛び出している。
さて、こうなると困ったのは山崎だ。さきほどの、「未知との遭遇」も確かに困惑したが、その比ではない。

――このままでは、副長達にも迷惑が……

かかるかといえば、実際そうでもないことは分かっているのだが、そこはそれ。
几帳面な性質上、「気にかかる」ところでもある。
更に何となく、ではあるが、山崎はよくよくこういったとき、叫ばれる台詞を知っていた。
何せ、普段相手にしているのは子供ばりに我儘(だと偶に思わされる)なのだから、当然だろう。

――そう、遊んで、か、相手をしろ、だ。

しかし……


「ん」

ひょいひょいっと、手招く彼女。
予想外のことに、山崎は素直につられて見せる。
と……
しゃがみこんで目を合わせた山崎ことざっき―。その、手をぺたり。
とってやって、

「?」

自分の頭の上へ。
さっきの騒がしさが嘘のように、ずいぶん殊勝な様子で、
小首を傾げ――

「  、して――」


  ―― なでなで して ? ――


「っ」

思わぬ破壊力。
このところの周囲やら、身近なところで悪戯をしかける隊士だののせいで……子供=わがまま、が身についていた山崎はさらっさらの髪にたじろいだ。
たじろぎながらも、

「(じぃ……)」

視線――
期待にこたえて撫でてやれば……やがて、目が細まっていく。
まるで、それこそ猫のような、可愛らしいイキモノの反応に、

「………」

もう言葉がなかった。
あとはただただ、要望どおり撫でてやるだけ。






*    *    *    *
「副長――子供っぽい、と子供だということは、大分違うようです」

「あ?なんだ?それは……総司のことか?」

「――いえ。何でもありません……」

「まあ、あれだな。子供ってのは、わりと可愛いもんなんだろうな。俺も、正直なところ、触れちゃいねぇから分からないが…」

「――ええ」

「なんだ? 誰かに子供の相手でも押し付けられたのか?」

――いえ、子供の相手、ならばよかったなと。
そうおもったのだとは言えず、山崎はため息を落した。確かに押し付けられている……子供以上に面倒なイキモノの世話を。

「(ぼそ)……もう少し素直で無口ならば可愛いのかしれないが……」

まあ無理なものはむりなのだ。諦めておこう。
それより、また、あの子供に会えないものだろうか、と――
ひそかにおっかなびっくりながら、新しい楽しみを覚える山崎だった。

まあ、そうはいっても……翌日には、

「こちらでしておきますから、君は戻って下さって結構ですよ」

「いえ。どの道一緒ですから――も子供じゃあるまいし、手を煩わせることはありませんよ。お借りします」

なんていう、斎藤管轄の「子供っぽくすらないイキモノ」よりは、マシだなとおもったりもするのだが。


まさかのロリ ぅあ幼女つぉい
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