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【同時刻辺りの、瑣末な出来事】
「で……君はなんで、そんな風にさぼってるのかな?」
一時間目からなんて珍しいよ?と笑いながら聞いてくる不二を尻目に、は、ポッキーを齧っていた。
ろくに朝ごはんも食べていないし、昼を作る余裕もなかった。
本当は、お弁当を幼馴染の分もあげようとおもっていたのに失態だと思う。反面、その馬鹿のせいでこうなったから自業自得なのだけれども。
のため息をみて、不二は笑う。
ぽんっと頭にのせられた手を、はいやとは思わなかった。
手塚が危惧する程度に、不二は、気まぐれでなく、には甘い。
手塚の癖がうつった、と本人はいっていた。
「単なる痴話げんかならいいんだけど、手塚も……まあ男だから気持ちはわかるんだよ。もちろん僕は君の味方だけどね」
「なら……何とかして……?」
「無理」
甘やかしていそうで、ばっさり切り捨てるのも、また不二の持ち味。
「本当は、甘えたいんでしょ?意地っ張りも可愛いから黙ってたけど、でも、折角なんだ。時間は短いよ?」
「……分かってるって……」
「怒ってない?手塚には伝わってないよ。のほうが大人、なんだろ?」
それとも侮っていた?
本当に底意地が悪い。
不二は、分かっていて言っているのだ。
朝の喧嘩は……キスに驚いたのちょっとした意地っ張りで、本当はすでに許していることを。それから、本当はのほうが子供で、手塚もまた「優しい拒絶は、NOじゃない」を知らない程度にはお子様だということを。もしかしたら、もう一つの理由のことも知ってるかもしれない。
「はい。じゃお終い」
お手をどうぞ、お姫様。
からかって、を立たせ、不二は、そのままその視線を屋上の扉……眼鏡の王子さまの方に投げた。
to be continued
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