|
噂が立ったのは誤算だった。
だが、そんなことに構ってる暇もないほど僕は忙しかった。
推薦テストの日にちが迫っていたせいだ。
受けるかどうか、少しだけ迷ってから自分で結論を出した。
受けよう。
彼女とは関係なく決めたことだった。
* * * * * * * *
塾には通っていたが、追い込みのこの時期、も僕も休みがちだったり特訓の為授業が違ったりして二人で会うことはなかなか出来なかった。
今日まで。
「え?」
頭の中で言われた台詞を繰り返す。
ごまかすようストレッチを続け、出来るだけ見ないようにしたが、『つきあわないか』と他の男の台詞を軽く口にしたの表情が気になって仕方ない。
「不二の悪い冗談だよ」
本気にはしてないのかと尋ねると、彼女は「まさか」と笑った。
それ以上、何も聞けなくなって会話が一度止まる。
暫く後でようやく、僕は、
「……不二には何て答えたんですか?」
さり気なく尋ねて、
「『冗談でしょ。受験が終るまで誰とも付き合わないよ』って言った」
と、答えを返された。
――不二がそれくらいで終らせるはずないでしょうが。
「『その後は?』と彼はききませんでしたか?」
「『その後はわかんない』」
言葉をなくした。
――これは最終勧告ですか?
いつまでも続けられるはずがないのだ。
そう、ほかならぬ彼女に突きつけられている、そんな気がした。
――どうすればいい?
結論を出す、それは本のすこし後のこと。
|