奥州に独眼竜、伊達政宗あり。その竜の右目に、片倉小十郎景綱。ともに戦場を駆け、時代を作った蒼き伊達の主従のことは、今生にあっても覚えている者が多い。かつての記憶を持って生れてしまったもの、取り戻したものの中では当時直接関わらずともその評判を知っていた。
ましてや、一度見えたものは言うまでもない。
が………その切っても切り離せない主従関係(ただの主従ってレベルじゃねーぞ!と叫びたくなるような信頼関係)も、輪廻転生の前には無常だった。
あるいは同じ時代、同じ地域にて再会を果たせただけでもラッキーなのかもしれない。
しかしながら―― 片倉小十郎が嘆きたくなることに、転生を繰り返してもこの人だけと誓った主、伊達政宗は、さっぱり己のことを忘れていたのである。
この物語は二人がいかにして、間抜けな再会をし……ゆっくりと小十郎が一人苦悩しながらも、再び信頼関係を築く――までのちょっとした日常を取り出してみた集大成らしきものである。