| File【B】:00 〜 SIDE SHUSUKE FUJI ロビーに入ると、その人物は柔和な笑みを浮かべていた。 僕は声を紡ぐ。 「中学……いや高校ぶりか。プロに来ればいいのに、不二は来ないみたいだな」 そう笑った。 旧知の仲ではある。 「そうか」 それだけではなく、彼は経営にも加わっている。 (もちろん、その瞬間は驚いたけどね) ただ彼のカリスマはまだ健在だ。 (けど――) 「幸村、策をしくじったようだね。……らしくもない」 「責めないのか」 率直な言い分だ。 「完敗だ……。手塚を巻き込んだのは許せないし、それなら僕にすればよかったのにとは思うけど君はしなかっただろう?」 「ああ。お前は必要な人材だから、社としても手放すわけには行かない」 「……ありがたいけど迷惑だね」 「俺にとっても必要だ。カードとして、でなく、許せない」 (相変わらずスゴイ文句を吐いてくれるな……) 幸村をそこまで嫌えないのは、この男が本当に真っ直ぐだからだろう。 「頼むよ、幸村『部長』」 「すまない」 実際、部長だから、意味合いは通じていないかもしれない。 僕は彼に賭けて見ることにした。 (――君なら分かってくれるよね) 「ところで、菊丸は?」 「先に研修に戻ってもらっている。まさか本当に自社が『誘拐』とも行かないだろう。不二も向かってくれ――と言いたいが……。他に一つ、頼まれてくれないか?」 「面倒ごとでなければ」 「ふふっ、厄介ごとは警察と、別の部署に回してある。こちらは仕事の話をしよう」 「真田か?」 「ついでに面白いオマケもついていたな」 「へえ」 それは興味深いな、といって、僕は乗り出したが、幸村は不敵に笑んだだけだった。 「【別の部署】とやらについては言わない気?」 「それはおいおい話す」 言うだけ言うと、彼は僕の前を立ち、デスクに戻った。 「分かったよ」 ため息を飲み込んで、僕もその横に向かった。 「出来ることは限られている。まずはお茶でも入れてくれないか」 「普通の仕事も山ほど溜まっているんだ。『別の部署』のせいで」 仕掛けられているのかどうか。 「君も人が悪いね」 そうか? (これで幸村は誰よりも男らしいからな) TO BE CONTINUED =SIDE 跡部 |
まだまだ謎は小出しだねという……