◇ 源氏と若紫2 ◇

しかし、知らせはその後何故か来ず……情報のいききも減るようになった。
裏切ったと言うわけでもない。さぼっているというのとも違うのだろう。

――どうしてるかな、若紫のやつ。

思い出せば思い出すほど――浮かぶのはそのなまめかしい身体ばかりで…現金なものだと原田は笑った。

「さのさん、最近吉原いってないんだって?」

「まあな」

「たまってんじゃね?」

だから溜息なんてついちゃってさぁ。
そう、平助にいわれるのも仕方のないことかもしれない。

――いや、そういうんじゃねーんだけどな……。あ?……

そういうんじゃない。のだろうか。

元来原田は欲望をちらすためだけに女を身勝手に買うようなことはしてきていない。かといって、恋愛でもないが…強いて言うならばそこには分かりきっている疑似恋愛を求めてきていたはずだ。
だからこそ、今日まで吉原の女にも人気があったし、残酷な結末になるようなこともなかった(例えばチラが本気になるとか。例えばこちらがいれこみすぎるとか)

けれど――

そういえば、である。
若紫に対して原田が持っている感情は何であろうか?

欲情は覚える。

――あれだけのいい女だ。仕方ない。

しかし……疑似恋愛かといわれると、駆け引きがもっとも得意とされる若紫相手にその駆け引きをしている気はしなかった。あちら側もそれを求めてはいないだろうことが分かる。

――あいつは俺のことを……

どうおもっているか?報酬にというほどに愛されているのだろうが、それをやすやす逃したから今きにしているかというとそうではない。


「………同情、か」

「ん?」

「いやなんでもねぇよ」

「けどさ、さのさんって不思議だよなぁ。あれだけ女は大事にっていうわりに、本命の一人もできないって」

しんぱっつぁんもおもうだろ?軽口をたたく平助に、

「…うらやましい!さのは、本命取ろうと思えば取りたい放題じゃねーか!!くーっ。俺は泣く。泣くぜ」

ごんごんと既に小突くの程度をこえて、なぐりかかってくる新八。
よけながら原田は、一瞬、本命の一言に浮かべた光景に――戦いた。


――俺は今……
なにかんがえた?


言わずとしれている。
それは、あの憎々しいほど落ち着きはらった若紫の――唯一幼くみえる「寝顔」だ。

落ち着ききった顔で寝るその瞬間、「ごめん、いて」と弱弱しくいわれるときだけ、彼女の本当が透けて見える……気がする。だから、原田は断ることもできず朝帰り――唯一土方にも見逃してもらえる朝帰りを続けている。

しかし――


「おい、原田。ちょっとこい」

その土方が鬼気迫る表情で訪れたのは、その瞬間。
そして……

「アイツが……若紫が……               」

事実は知らされた。一番知りたくない形で。



to be continued